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白黒映画のホームズもなかなか面白いのだ

ドラマミステリ

「シャーロック・ホームズ」は映画創成期から何度も映像化され幾人もの俳優がホームズを演じてきたが、その中でも英国グラナダTVが1984年から制作したドラマでホームズを演じたジェレミー・ブレットが最高のホームズであるという評価に異論のある人はまずいないだろう。

ではブレット登場以前はどうだったかというと、長らくベイジル・ラスボーンが最高のホームズと言われ、14本(?)の映画と数多くのラジオドラマで人気を博した。しかしアメリカで活躍した英国人俳優ラスボーンの名は日本ではあまり知られていません。

そのラスボーンのホームズ映画が廉価版DVDで発売されました。

『シャーロック・ホームズ 名探偵の事件簿』

  1. バスカヴィル家の犬(1939米/80分) ベイジル・ラスボーン、ナイジェル・ブルース
  2. シャーロック・ホームズの冒険 (1939米/82分)
  3. シャーロック・ホームズと恐怖の声 (1942米/65分)
  4. シークレット・ウェポン (1942米/68分)
  5. ワシントンのシャーロック・ホームズ (1943米/71分)
  6. シャーロック・ホームズ危機一髪 (1943米/68分)
  7. 蜘蛛女 (1944米/62分)
  8. 四つの署名 (1932英/73分)アーサー・ウォントナー、イアン・ハンター
  9. 緋色の研究(1933米/71分)レジナルド・オーウェン、ウォーバートン・ギャンブル

『シャーロック・ホームズ 名探偵の推理』

  1. 緋色の爪 (1944米/71分)ベイジル・ラスボーン、ナイジェル・ブルース
  2. 死の真珠 (1944米/68分)
  3. 恐怖の館 (1945米/69分)
  4. 緑の女 (1945米/67分)
  5. アルジェへの追跡 (1945米/65分)
  6. 闇夜の恐怖 (1946米/60分)
  7. シャーロック・ホームズの殺しのドレス(1946米/69分)
  8. シャーロック・ホームズの勝利 (1935英/79分)アーサー・ウォントナー、イアン・フレミング
  9. 銀星号事件(1937英/66分)アーサー・ウォントナー、イアン・フレミング

いずれもDVD9枚組で全てモノクロ作品。1~7がラスボーン版。

映像はかなり古くてノイズも多く、フィルムがグラグラ揺れていて時代を感じます。

ベイジル・ラスボーンは銀幕時代の最高のホームズ

なぜ日本でラスボーンの知名度が低いのかというと、ほとんどの制作年が40年代前半で第二次世界大戦真っ只中だったためアメリカ映画は日本で公開されていないからなのです。

第1作「バスカヴィル家の犬」はアレンジされてはいるものの概ね原作に沿って作られていて、スタジオ撮影がやや手狭に見えてしまう部分はあるけれど今観てもなかなか良く出来ています。

ラスボーンも原作オリジナル挿絵に似ていてカッコ良くて人気となったのもうなずけます。

2作目以降は時代設定を原作よりも新しく(当時の現代に)変更され、原作のエッセンスを散りばめられただけのオリジナルストーリーで大戦中という時節柄、ハードボイルドなスパイ活劇風に作られ大ヒットとなったのでした。

ドジなワトソン像が定着

また、ナイジェル・ブルースの演じたワトソンが頭の回転が遅いドジなキャラクターだったため、ラスボーン版ホームズの大ヒットに伴って「ドジなワトソン」のイメージが広まり、本来ホームズが信頼する相棒のワトソンが頼りない人物として長年にわたって定着してしまったのでした。

ブレット版でのワトソンが “ぼんくら” ではなく、ちゃんとした紳士として表現されたこともブレット版が絶大な人気である理由のひとつでもありますね。

アーサー・ウォントナーは30年代最高のホームズ

アーサー・ウォントナーのホームズもまたラスボーン以前の30年代には、挿絵から抜け出たような容姿で人気となり、その時代の最高のホームズでした。作品は原作からかなりアレンジされています。

ファンが待ち望んだ原作に忠実なホームズをジェレミー・ブレットが演じたことで、過去のどんな名優が演じたホームズも霞んでしまうけれど、ホームズ研究本の中の数枚の写真でしか見たことの無かった、ホームズ映像史において重要な作品が手軽に観られるようになったことは感無量。

ラスボーン版のDVDは以前にもいくつか発売されており、デジタルカラー化された「コレクターズBOX」を持っているので今回のDVDと収録作品が4本ダブっているのだけれど、ラスボーン版が網羅されていることに加え、さらに古いアーサー・ウォントナー版まで入っていて貴重なことと、とにかくお買得なので迷わず買ってしまいました。

ホームズのことになるとつい財布のひもがゆるんでしまうんだなー。

廉価版なのでブックレットなどの解説は一切無く、パッケージ裏のあらすじだけなのが残念。

まだラスボーン版「バスカヴィル」とウォントナー版「四つの署名」と1本ずつしか観ていないけど、この秋は録画している番組も多いし配信動画も観なくちゃいけないし

(いや、いけないってことは無いんだけども)なので、残りのDVD視聴は年末までお預けですなぁ。

 

【パッケージがリニューアルしてます】

 

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